産経社説 光華寮訴訟 問題を残した最高裁判決

 今回の最高裁判決は「原告として確定されるべき者」に焦点を当てた。いわば手続き論からの裁定だった。昭和47年に中国国家の代表権を失った中華民国は原告としての資格を失った、というのが結論だ。しかし、判決が「中国国家の代表権」というときの中国とは一体どこを指すのか、台湾を含むのかどうか、あいまいなままだ。
 日中共同声明では、日本政府は、台湾を中華人民共和国の不可分の領土とする同政府の立場を「十分理解し、尊重」するとしたが、「台湾の帰属に関しては判断する立場にない」というのが日本政府の公式見解である。
 こういう状況では、最高裁判決は批判しているものの、下級審が日中国交正常化後も中華民国(台湾)を「台湾島などを支配して事実上の国家形態をとっている者」と見なし、原告の資格ありとしたのも理解できる。
 台湾の人々は、「日本はまた台湾を見捨てた」と気を落とすかもしれないが、日本は三権分立の国であり、台湾の民主主義を支持し、交流拡大を望んでいることを忘れないでほしい。

 ぎりぎりの産経の誠意というべきかな。こういう視点を出せるから産経は無視とまでいかない。
 そういえば、台北で読めるのは産経新聞だし、現地では読まれているのだったな。