日経 春秋(3/17)

 夜を徹して人生を語り合い、哲学書や歴史書に没頭する。戦前の旧制高校に息づいた教養主義の精神と文化は、昭和40年代の大学紛争時に解体された。社会学者の竹内洋関西大教授はそう指摘している(『学歴貴族の栄光と挫折』)。▼これが跡形もなく消え去ったのは後のバブル期だろう。若者は人間と社会に深く思いを巡らすよりも目に見える名利を追い、世間もまた、それを許した。きのう実刑判決を受けたホリエモンの言行をたどると、1度は東大にまで学んだこの受験秀才に欠けていたのも、まさしく「教養」ではなかったかと痛感する。

 とほほ。