日経 春秋(2/19) : NIKKEI NET:社説・春秋 ニュース

「ヤマトナデシコ、がんばれ」。42.195キロをひた走る女性たちに感動して、主人公は涙ぐむ。干刈あがたの小説『ゆっくり東京女子マラソン』に登場する母親だ。

都心部を封鎖し大がかりな警備態勢を敷き、この大会には批判も少なくなかった。しかしマラソン文化の広がりを実感させたのは確かだ。『ゆっくり東京――』が書かれたのは23年前。選手に声援を送った主人公も自ら走ろうとは思わなかっただろう。早世した作者は、今なら別の物語を紡いだかもしれない。

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ゆっくり東京女子マラソン: 干刈 あがた
 よい小説ですよ。