日経社説 苦渋と不確実性に満ちたイラク政策転換

 社説としては日経が一番妥当かな。

 ブッシュ米大統領イラク政策の転換を発表した。治安改善を目指して当面、2万人以上の米軍部隊を増派するなど新たな対応策を盛り込む一方、「米国の関与は際限がないわけではない」とイラク政権の自助努力を強く求めたのが特徴だ。イラク全土の治安権限を11月までにイラク側に移譲する目標も明示した。米国内に向け「出口」への接近をにじませたいが、局面を打開する決定的な策は誰にも見いだせない。掲げた目標の多くは努力目標だ。苦渋と不確実性に満ちた政策転換である。
 ベーカー元国務長官らを中心とする超党派の諮問組織は昨年12月、「2008年3月までに米軍の戦闘部隊を撤収することは可能」と提言した。治安権限移譲の期限を11月としたのは、提言を全否定はしないという政治的判断の表れだろう。
 今後の安定と経済復興の主役はイラク人であり、米国は支援者だという位置付けも明確になった。一部地域を除けば、イラク側が治安維持の前面に出る形に変わっていくが、それで治安が改善する保証はない。イスラムスンニ派抵抗勢力や過激派がもっぱら米軍を狙う状況から、スンニ派シーア派に対する挑発的な攻撃とその報復、さらにシーア派同士の内部抗争も広がる状況へと、衝突が複雑になっているからだ。

 なんとく別のシナリオが見えてきそうな気がするが。