座間味島のケースだが
⇒「母の遺したもの―沖縄・座間味島「集団自決」の新しい証言(宮城晴美)」
⇒母の遺したもの【立ち読み】
事実はそうではなかった。母は自分の“証言”がもとで、梅澤元部隊長を社会的に葬ってしまったと悩み、戦後三五年経ったある日、梅澤氏に面会して「あなたが命令したのではありません」と〝告白〟しました。しかしそのことが思わぬ結果を招き、母は心身ともに追いつめられることになるのです。
改めて事実を記した手記を出版することで、母は“証言”をくつがえそうとしました。しかしそれだけでは、また別の意味で誤解を生じさせかねません。そこで母は、私にノートを手渡しながら、「これはあくまでも個人の体験なので、歴史的な背景や当時の住民の動きを書き加えてから発表してね」と言い、私も軽く引き受けたのです。でもその時は、そんなに早く母が逝ってしまうとは、夢にも思いませんでした。
母の遺したもの―沖縄・座間味島「集団自決」の新しい証言: 宮城 晴美 |
大江訴訟及び戦争, 2005/10/1
レビュアー: "yanyan2000" - レビューをすべて見る
座間味島、渡嘉敷島の住民集団自決に関して、大江健三郎、岩波書店が訴訟を起こされています。事実として守備隊長が住民に直接玉砕命令を出したというのは違うのかもしれません。当時の守備隊長が虚偽の報道などにより被害を被ったのであれば当然謝罪は必要でしょう。しかし住民の集団自決という問題を命令があったかなかったかという問題に矮小化するのは間違っていると思います。その背後にあるもっと大きな問題を考える必要があると思います。そのような意味で事件の直接の当事者の証言を含むこの著書は一読に値すると思います。