朝日社説 カストロ後 対米関係の改善を

 まずはお笑いを。

 これからのキューバに求められるのは、大きな混乱を避けながら、より自由な体制への軟着陸を果たすことだ。経済に限れば、改革開放の道をひた走る中国はいい手本になる。

 これはなかなかGJ。

 フロリダを中心とする亡命キューバ人の間からは、これを機に一気に政権を転覆させようとする動きも出てくるだろう。これまでも経済制裁などを求める積極的なロビー活動で知られてきたグループだけに軽視できない。
 米政府はこうした動きを抑えるべきであり、助長するようなことがあってはならない。内乱のような形で混乱が広がれば、大量の難民が米フロリダ半島に押し寄せることになる。

 ブッシュ政権はけっこう亡命キューバ人のグループに慎重に見える。ただ、この朝日の主張がひどいなと思うのは、難民発生の理由は米国だろうというスジ立てにしている点だ。このあたりもお笑いにしてもいいのだろうが、実際にキューバ内発的な事件が起きたとき、米国はうまく国際協調をしないといけないので、今からこの手の話をスプレッドする稚拙さでは困る。

 冷戦後も緊張が解けなかったのは、キューバの人権抑圧と米国の経済制裁との悪循環が続いたからだ。キューバ政治犯を釈放し、報道への統制を緩める。米国が制裁の見直しでそれに応える。そんな流れができれば、政治的な自由と経済的な繁栄とが結びつく。
 キューバは、ニッケルなどの鉱物資源やオレンジなどの農産物が豊かで、教育水準も高い。ヘミングウェーが愛した自然と風土は大きな観光資源でもある。
 人々は、この国が貧困から脱出するには、米国との貿易を再開して、投資を呼び込むしかないこともわかっている。

 この最終段の認識は正しい。ただ泣けてくるのはこの正しさは実はキューバに限定されない。
 他南米において資源問題をこじらせているいったんは中国にもある。というか、まず、中国が米国との橋渡しに動いていいはずだが、実際にはそう動いてない(人道支援面では中国はよくやっているが)。
 現状ではカストロの死が大衆レベルで意識されたとき、その不安をうまくキューバで強権的に抑え込めるかということが重要になると思う、なさけないことだが。