毎日社説 視点=小泉時代考 論説委員・布施広

 脱力系ダメダメ。

 日本としての見解や展望をはっきり語る。誤りは率直に認める。思えば当然ながら、そんな潔さが待ち望まれているのではないか。競争の激しい米国では、猛勉強を重ねたエリートたちが政権入りを競い、政権内でも激論が戦わされる。米国との同盟関係で大切なのは、ジャパニーズ・スマイルではなく、したたかな論陣である。
 論戦についていけないなら、中国やインドなどの後塵(こうじん)を拝するしかない。日本が自らの知恵を堂々と語ることは、世界の安定への助言がほしい米国にも、日本は対米追従の国なのかと誇りを失いかけている若者にも有益である。

 いざというとき血を流さない国家は信頼されない……という世界に対して、日本は別の信頼を作り上げていかなくてはならない。そしてそれはそう失敗しているわけでもない。