日経春秋

 ⇒春秋(6/30)
 野暮系じゃなくて。

 小泉首相がナイアガラで緑の瀑布(ばくふ)に感嘆の声を上げているころ、日本政府は、血液製剤によるC型肝炎に国の責任を認めた大阪地裁判決を不服として、控訴を決めた。ウイルスに汚染されたこの製剤は20万人以上に投与され、すでに1万人が肝炎を発症している。

病と闘い、あるいは発症の恐怖と戦い続けている患者と家族。訴訟の長期化は、その苦痛を倍加する。一方、お役所は大臣も担当者も次々に代わり、長期裁判は痛くもかゆくもない。こんないびつな構図に終止符を打つのは、政治家の決断しかない。改革の本当の中身が、ここで問われる。

 民主主義の世界では、こういう構図に終止符を打つのは市民。