毎日社説 石綿救済新法 労災補償との差を縮めよ

 なぜ、こんなことになるのか。それは、政府が石綿被害の責任問題から逃げてきたからだ。政府は石綿による健康被害について「省庁間の連携が不十分だった」と認めたが、責任はないという立場を変えなかった。石綿被害を「補償」するのではなく「救済」する制度とした結果、全額税金ではなく、地方自治体や事業主にも拠出を求める方式となった。
 しかし、全国知事会も申し入れ文書で指摘しているように「今回の事態は国の対応遅れにより生じた」というのが常識的な見方だ。国の責任逃れの姿勢が、混乱や問題を起こしていることを自覚すべきではないか。
 石綿被害の拡大をなぜ食い止めることができなかったのか。参院でしっかりと議論を尽くし、新法の不十分な点を正すべきである。

 まぁ、「参院でしっかりと議論を尽くし」てごらんなさいな、できるなら。