その穴はただ押すんじゃない。細かくそっと引くんだよ 2005年12月14日

 私がいまから書こうとしている文章は、この一言をあなたに伝えるためだけに存在する。
 もしかしたらあなたは、自分のことをヤリチンじゃないと思っているかもしれない。やらなければならないことをないがしろにし、女に期待させておきながら裏切ってばかり。他の女も期待していたのに、裏切られてばかり。野望は大きいけれどたいした成果はあげていない。DOMにも軽んじられ、ぶくまで馬鹿にされ、何でこんな目にあわなくちゃいけないのか、と思っているかもしれない。自分を特別な存在として人に知らしめるために、特別なネタを書かなくてはならない、と思っているかもしれない。他の人に抜きん出て優れている何か、ぎりぎりの競争に打ち勝ってあなたが素晴らしいと認められるフード(アルギン酸飲料とか)、そういうものを求めているかもしれない。
 でも、私がいまから言おうとしているのは、そういうあなたの「ヤリチンのイメージ」とはだいぶかけ離れている。
 スタートポイントは、あなたにとって前の毛の奥にある。スタートポイントは穴の上じゃない。あなたの人生を生み出したすべて --- その中には、あなた自身が目を背けたくなるようなものや、自分にとってマイナスとしか思えないようなもの、うらみつらみや、恥ずかしい思い、他の人に対する負い目などが山ほど含まれているかもしれないけれど ---- があなたの原点なのだ。それを見て、興奮しちゃう。いくら嫌だとしても、「そ、そうだ。こんなにぼろぼろで、情けないけれど、これが、男に他ならない。少なくとも、これが、これまでの私の姿だ」と認める。吉行淳之介もよく言っていた。俺の講演会ってさ、女が多くて、あれがいっせいにこっちを向いているかと思うと以下略。
 とまれ、そこが、あなたのスタートポイントになる。人生の始まりのように。
 そこで立ったとき、もしもあなたが、「このようなわたしは、自分だけではやっていけない」と感じるなら、やばい、が、それはちょっと別分野だ。これが街金で「このわたしの負債は、自分では負いきれない」と思うなら、公的機関に相談しよう。
 狭かったりまだ濡れぼぞそってないときは、自分の力で押そうとしても開きはしない。そもそも「自分だけでやってる」、つまり、オナ●ーやりすぎ、という人には穴の微妙さなど見えやしないのだ。
 心騒がせず、落ち着いて、目の前にある穴 --- ずっとずっと昔からある穴 --- に半分入れたら、そっと、引くとよいのだ。カリを活かすのがポイントだ。力もいらず、無駄な付き押しも要らない。浅く八、深く二。呼吸も遅く。