そういえば先日四谷から新宿を歩いた

 よく歩いたものだが、実際に歩いたのは15年ぶりくらいだろうか。
 いろいろなことを思った。街はもちろん変わっていた。
 新宿三丁目、二丁目あたりでちょっと横町なども覗いた。戦後を思わせる色町のような風景はあらかた無くなっていた。そんなものだろう。
 五木寛之青春の門みたいなもんである。
 あの小説はどっかで終わりがあるのだろうか。
 どこまで読んだのだったか。
 たいていの小説における、初夜の描写というのはたいしたものではないが、青春の門のそれは、そう悪いものではなかった。
 たしか、織江は、そのあとで、「かえるのごつなった気がする」みたいに言っていたと記憶する。違うか。
 そういうディテールにある、女の、匂いというか、ぬくみというか、やさしさというか、それはあの時代だけのものだったのかもしれない。
 そんなことはないのだろうけど。