現在40代のみなさま…

 ⇒内田樹の研究室: 忙しい週末

ということで、現在40代のみなさま(1956年から65年の間に生まれたみなさま)はどのような歴史的文脈の中に生まれ育たれ、どのような状況に投じられており、どのような問題に直面されているのか、ということをお話しする。
この世代の特徴は「デタッチメント」志向である。
めんどうな浮き世のしがらみや親族の葛藤や師弟だの親の血を引く兄弟よりもの義兄弟だのストリート・ファイトで苦楽をともにした同志だのいうややこしい人間関係を「好まれない」という点を世代的な徴候としている。
彼らがそのようなものを「好まれない」のは先行世代(私たちのことだ)がそういう「ややこしい人間関係」が大好きな「コミットメント世代」だったからである。

 あたり。

40代のみなさんは、そのような「コミットメント」世代に「うんざり」するというかたちで人格形成を遂げられた。
そういうものである。
あらゆる世代は先行世代の「前者の轍を踏まない」というかたちで走路を選択する。
そのせいで、いまの40代のみなさんは、「ややこしい人間関係に過剰にコミットしない」ということを世代的党是とされて今日の日をお迎えになったのである。

 いや、まったく、そ。

だから、この世代の特徴は、社会問題を論じるときに「悪いのは誰だ?」という他責的構文で語ることをつねとされていて、「この社会問題に関して、私が引き受けるべき責任は何であろう?」というふうに自省されることが少ないということである。

 これは半分はずれ。前半ははずれ、後半はあたり。
 この世代の特徴は、社会問題を論じるときに…、「なぜこんな阿呆なシステムになっているのだ?」というように他責的構文で語ることをつねとされているのである。