国政に関する公聴会における佐藤内閣総理大臣の発言

 こんなものがあるのか。ネットは面白いものだ。

 第二の問題といたしまして、ただいま問題になつておる李承晩ライン、これは一体どうなのか、李承晩ラインは国際法上認めておらないラインであります。韓国が一方的にこれを作つたのであります。私は外交上でしばしば国際法上認めないラインだということを申して参りました。しかし今回の条約によつては、漁業協定によりまして、この李承晩ラインがあるのとかないのとか、いろんな議論がございますが、漁業は安全操業ができるのであります。私は李承晩ラインが漁業を操業する上において、だ捕あるいは逮捕、拘留等があつた、そのことが李承晩ラインというものをわれわれ日本国民に強く印象づけたのでありますが、今後は漁業協定によりまして安全操業ができるんだ、安全操業ができる以上、李承晩ラインの存否についてとやかく議論することは、私はあまり意味のない議論、事柄だと、かように思います。安全操業ができるということ、それによりまして李承晩ラインの存続を云々議論しなくてもいいと、かように私は考えるのであります。ただ、この問題につきまして民社党の西村君は、五年たつたら、いわゆる漁業協定の期限が到来したら李承晩ラインが復活し、また問題が起こるのではない{原文ママ}ということをいつております。私は両国の関係におきまして、かような無条約状態を起こさない修好関係を結ぶ、友好関係を樹立する、そのための日韓協定であります。日韓の基本条約であります。今日ただいまから、かような意味において心配されることは、こういうのが本当のき憂ということではないだろうかと思います。私はただいま申し上げましたように、今後は漁業に携わられる方、奥能登付近あるいは福井県からも、この対馬海峡に出漁される方はずいぶんあると思いますが、この付近の方々も今度は安全操業ができるんだ、われわれ日本のもとで、その法規に違反しない限り、われわれは安全なんだということが、はつきり言えるのでありまして、ただいま申し上げましたように李承晩ラインを云々する必要はないように私は思います。

 難しい問題だなと思う。佐藤がこう発言するあの時代の背景はわからないでもない。
 蛇足だが、1965年は日韓基本条約調印によって李承晩ラインが廃止された。
 まさか、こんな時代になるとは。