産経 毒ガス訴訟 有意義な事実認定の争い

しかし、その後の国側弁護団の調査で、うち一件は化学兵器の入ったドラム缶の大きさや表記などから旧ソ連製である可能性が濃厚になった。また、当時の中国国民党軍も化学兵器を製造していたことが分かり、残る二件についても旧日本軍の遺棄化学兵器が原因とは断定できないとしている。控訴審の行方が注目される。
 通常、こうした旧日本軍の戦争責任を問う裁判では、被告国側の弁護を法務省の検事が担当する。今回も同省民事訟務課の検事らが担当したが、旧日本軍の資料や中国の文献などを丹念にあたり、綿密な反証調査を行った。その努力を評価したい。