日経社説 患者本位の中医協に生まれ変わるか

 茨城県医師会長は来春の日医会長選に立候補する。仮に当選すれば政権党の支持基盤という日医の機能は変わらない可能性が強い。中医協の議論にも新執行部の意向が反映される。その関係が行き過ぎれば患者の利益は二の次になる心配がある。
 そうしないためにも長妻氏は医療政策への理解を深めてほしい。同相は混合診療の原則禁止を追認した東京高裁判決が妥当だと表明した。またレセプト(診療報酬明細書)電子請求の義務化に例外を認める。ともに一部の医療関係者の主張に沿う。支持基盤だけをみていては患者や納税者のための医療は実現できない。

 メモ。

産経社説 【主張】日医排除 医療体制再建につなげよ - MSN産経ニュース

 だからといって、有無を言わせぬ人事で開業医と勤務医の離反を招くような「荒療治」を正当化できるのか。勤務医と開業医の対立をあおるような事態となれば、迷惑を被るのは患者であることを忘れてはならない。新委員に先の衆院選民主党候補を応援した茨城県医師会理事らを選んだことで、総選挙の「論功行賞」との声が聞かれるようではなおさらだ。

 メモ。

毎日社説 社説:日医外す中医協 医療再構築の転機に - 毎日jp(毎日新聞)

ただ、医師不足は診療報酬だけでなく、新医師臨床研修制度によって都市部の総合病院に医学部卒業生が集中し、若い医師が足りなくなった大学病院が地方の病院から派遣医を呼び戻したことが大きいとも言われている。

 日医枠に新たに任命される3人は開業医を主力とする地方の医師会や大学医局が出身母体だが、中医協の場でそれぞれの団体の権益の主張に徹するのでは、日医に代わる圧力団体が登場するだけのことになる。

 メモ。

読売社説 中医協人事 脱皮を迫られる日本医師会 : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 結局、長妻厚労相は日医執行部からの推薦は受け付けず、日医内で非主流派と目される茨城県医師会理事と、京都府医師会副会長に就任を求めた。もう1人の枠には山形大学医学部長を起用した。
 総選挙で茨城県医師会は民主党を全面支援し、自民党を支持し続けた日医執行部と対立した経緯がある。同県医師会長の原中勝征氏は、来年4月の日医会長選に、現会長の唐沢祥人氏の対抗馬として立候補すると表明している。
 政権交代と日医の中の路線対立が連動したのが、今回の中医協人事である。
 だが多くの国民にとって日医内部の主導権争いは重要でない。問題は新しい陣協が、開業医の利益を優先してきた診療報酬体系を改革できるかどうかだ。

 診療報酬全体を大きく引き上げることは財政上困難だ。地域医療に粉骨砕身している開業医にはきちんと報いるとの前提で、開業医全体の報酬枠に切り込むことが必要になるだろう。
 その際に、非主流派ながら医師会幹部である新委員が、やはり開業医の既得権を守ろうとするならば何も変わらない。これまでの日医推薦委員とは違う、というところを見せてもらいたい。
 中医協から締め出された日医執行部も、非主流派に対抗するならば勤務医の声をもっと組織運営に採り入れ、開業医中心の圧力団体から脱皮を図る時ではないか。

 メモ。

朝日社説 中医協人事―医療の抜本改革につなげ

 難しい問題。

 今回の人事では、これまで3人いた日本医師会の執行部メンバーが外され、代わりに茨城県京都府の医師会幹部2人と大学医学部長1人が入る。新委員はいずれも日医の推薦を受けていない。
 日医をはじめ関連団体が推薦した人が委員に就く慣例だったが、政権交代で一変した。医師委員5人のうち病院を代表する医師が3人になったことも大きな変化だ。
 開業医の意見が強く反映される日医の影響力をそぐ。そこに狙いがあると思われる。

 まあ、そうなんだが。