ハイエク - 「保守」との訣別 (中公選書)、読んだ

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ハイエク - 「保守」との訣別 (中公選書)
 ハイエクについての解説書は多数があるが、本書の特徴は、サブタイトルにある「「保守」との訣別」ということなのだろう。
 と曖昧に書いてしまうのは、私はハイエク保守主義者だとはまったく思っていないので、そこにあまり重要性が感じられないことがある。ただ、日本の言論風土のなかでは保守と見られるのかもしれない。
 というか、単にリベラルという言われる人々や知識人と言われる人が、なんとも奇妙な存在だからというだけのようには思える。
 ハイエクの解説書では、バトラーのものがわかりやすかった。
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ハイエク―自由のラディカリズムと現代
 こちらには「ラディカリズム」とあるように、ハイエクはどちらかというラディカリズムにあり、保守とはそもそも相容れない。
 先の書に戻って。
 保守うんぬんを除いても、ハイエクについてよくまとまっていると思えるが、なんとも読みづらい印象があるのはなぜかと考えてみると、こういうとなんではあるが、引用が多すぎることではないか。むしろ、「ハイエクの言葉」みたいにしたほうがわかりやすかったような印象がある。
 くだくだしてしまったが、よく書けてはいると思う。
 読後というか、後書きで気がついたのだが、共著者、ご夫婦なのだろうか。そう記載した部分はなかったように思ったが、仮にそうだとすると、夫婦揃ってハイエクの研究家というのは面白そうだなあと思った。
 
 ハイエクについては、「ハイエクならこう答える」みたいな問答集があるとよいのではないかな。
 お前書けよと言われると、そこまでハイエクを読み込んでいるわけでもないが。
 ニフティのころ「ハイエク秋田」さんという、若い、興味深いお医者さんがいたが、どうされているだろうか。