水曜日

 早いなあ。
 この間、本なども読んでいるのですが、書評とか書けず。備忘にメモすると。

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アメリカを動かす思想
プラグマティズム入門
(講談社現代新書)
 ローティとかが、米国思想上かなりわかりやすく書かれていた。というか、図を解説した高校生向きな本。でも、これはこれで便利。
 プラグマティズムについても高校の倫社レベルから書かれている。ただ、読み落としがなければサンタヤーナなどには触れていないので、悪い言い方になるのを恐れるけど、日本人向け、米国現代思想という印象が強く、その意味では、リアルに現代米国思想とその歴史に向かうには、きちんとしたなにか翻訳本のほうがよいかもしれない。けど、さて、どれというのがわからない。
 経験的に思うのは、日本人というのは思想とかいうのを一種、今来た産業的な道具にするけど、米国人インテリというのはまさにプラグマティズムなので、個別の問題への格闘のなかで、じわっと滲んでくる。別の言い方をすると、フコーやデリダ、あるいはネグリなんかもそうだけど、日本人インテリは、思想を俯瞰として使ってしまう。だから、現実の国際問題を複眼的に、ねっとりと見ることが弱くなる。
 
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創られた「日本の心」神話
「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史
(光文社新書)
 小林信彦がいつもいっている持論を資料的にまとめたという印象。ディテールが面白く、AKBなどにも繋がってくるというか、出版界もそうだけど大衆音楽界も体質がとても古い。
 hamachan先生がご指摘⇒新左翼によって「創られた」「日本の心」神話: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
 これ、岡林信康ファンだった自分とかにはけっこう自明ではあったが、じゃあという説明は難しかった。とはいえ、このエントリーの指摘はなかなか微妙に深いところがあり、きちんと議論するのは難しい。でも、ごく常識として知っておくべきこと。
 本書に戻って、藤圭子の話は、今娘が出て来た現在いろいろ考えさせられる。基本、藤圭子が美女だったことも大きい。
 あと、そうしたことと別に五木寛之の存在がけっこう大きいなというのは、この本の指摘が優れているところ。五木寛之については、cakesでも扱う予定。
 ちなみにこれKindle版があり、こういうのは助かる。