ユーミンの歌にじんわりと

 一時期といってもけっこう長いことユーミンの歌を聞いてない時期があって、そのあたりを埋めるようにぼそぼそと聞いている。
 率直にいうと、あまり心惹かれる曲はないなという印象だが、ふっと、朝、目覚めたとき、「VIVA! 6×7」の「灯りをさがして」が頭の中で響いた。
 どってことのない歌詞のどってことのないメロディーで、しかも、日本テレビ系「あの日にかえりたい 東京キャンティ物語」のイメージソングなので、それに合わせた歌詞だろうと思っていた。
 サビからわかるように


もう一度出会ってもう一度恋して
もう一度見つめ合いたい
とあり、よくあるユーミンの別れた後の物語なのだが。

Look at me
なぜおこらないの、前みたいに
さっき私が誰かと交わした熱い視線も
ただ静かに車のドアは閉まり
冷えた通りの霧の中のランプになってく
幸せだった日々
いたらなかったことばかり心残りだけれど
あなたの気持ちはもう戻らないとわかってるかもしれない
それでも私は強がりを捨てずに灯りを探すの
 この歌詞の男女の関係は、それまでのユーミンにありがちな別れる関係とは微妙に違う。
 むしろ完全に別れていない。なのに、愛も冷えているという関係である。
 どちらかという夫婦関係にありがち。これは、ユーミンの内面なのではないか。

Without you
ひとりで歩いていた。
いつのまにかきっとあなたは先で待ってると
分岐点も見ず
人は耐えきれない痛みを与えられはしないの
あなたの笑顔が向けられないならつらすぎるかもしれない
それでも私は思い出をたよりに灯りを探すの
 これは端的に、生きるのが苦しいと言っている。
 そしてこれは、今の冷えた夫婦関係で夫との愛の再生を願っているということではないのか。
 えええ?と思った。
 自分としては、そういう男女関係というのは、よくわからない。
 悲恋とか未練というのはわからないでもない。
 まあ、これも未練といえばそうだけど、もうちょっと、痛々しい何かだな。
 自分は女性に残酷なところがあって、女性が自分に未練のような感情を持つなんてことは、ねーよ、と思っている。
 普通、ねーよ、で終わりではあるけど、この曲の、微妙な歪んだそれでいて痛い感じっていうのは、どうも、年食ってみてわかる情感なのかもしれない。