東京 東京新聞:追加金融緩和 いかにも中途半端だ:社説・コラム(TOKYO Web)

 大胆に十五兆円以上かと期待された資産買い入れ基金の増額は、中途半端な十一兆円−。「アリバイづくりではないか」と思えてしまう対策である。

 それなのに出てきたのは、国債などの資産買い入れ基金の小幅増額と、金融機関の貸し出し増加を促す新たな基金創設である。「日銀も対策は打ってます」というような姿勢では、デフレからの脱却はもちろん、景気の下支え効果も期待できない。
 日銀は同日、二〇一四年度までの物価見通しが0・8%上昇と、目標の1%には届かないと発表した。デフレはすでに十五年に及ぶが、この先も脱却への道筋が描けていないということだ。

 実際のところまったくの政策的な転換はない。

これは欧米との比較でも明らかだ。リーマン・ショック後にどれだけマネーを供給したかをみると、欧州中央銀行(ECB)は約二倍に、米連邦準備制度理事会FRB)は約三倍に増やしたが、日銀は横ばいに近い。短期間に強力な緩和を行った欧米との落差は顕著だ。やはり物価目標を現行の1%から、他国並みの2〜3%に引き上げるべきである。
 日銀と政府は、デフレからの早期脱却に向け「一体となって最大限の努力を行う」とする共同文書を発表した。両者が政策目標を共有するのは当然であり、今更との感はあるが歓迎したい。政府が経済政策に沿ってインフレ目標を日銀に働きかけ、日銀がその政策手段を決め実行していく。

 しかも、今回の日銀、症税増勢の駆け込み需要を織り込んだと言っていた。あきれたというべきか。