朝日 尖閣買い上げ―石原発言は無責任だ : 朝日新聞デジタル:社説

 それに、そもそもこれは東京都の仕事ではないはずだ。

 そこはロジックが違っていて、石原さんは東京の長として、それを東京都の仕事にしようと提言したということだ。規模が大きいので議会ではかられるし、その提言はまず議会で受け止めればよいと思う。議会が是とするならそのあとは、都民が1坪づつ小分けにして買うということでもよいだろうと思う。

 知事は「島々を舞台にしてさまざまな施策を展開する」という。けれど、日本人が上陸しただけで反発してくる中国のことだ。問題はいっそうこじれるだろう。
 そうなった時、首都とはいえ自治体の長の石原氏に、領土が絡む問題を解決する手だてはない。政府の外交に悪影響を与えることを承知で大風呂敷を広げるのは、無責任としかいいようがない。

 ここは話が逆で、すでに地権者が対応しきれず、信頼できる買い手を探していて地権者が納得する人として東京都の長が出て来たということ。別の言い方をすれば、中国が問題をこじさらせなければ、地権者が困惑することもなかった。
 「大風呂敷」かについては議会が判断すればよいことだが、外交への悪影響というのは中国の思い過ごしでしかないし、むしろ中国にチャネルを持つ朝日新聞はその旨、誤解を解くようにしたほうがよいだろう。

 私たちは、こうした中国側の対応にも自制を求める。日中両国民がお互いに批判しあって、何か得るものがあるのか。

 そこをもっと積極的に。

 石原氏には、新党構想が取りざたされている。その折から、税金を使って選挙向けのパフォーマンスをしているようにも見える。

 そこまで思いを広げなくてもよいでしょう。

 藤村官房長官はきのうの記者会見で、国が購入する可能性を否定しなかった。東京都よりも外交を担当する政府が所有する方が、まだ理にかなっている。

 これはまったく逆で、地権者の移動が私的セクター内であればまったく従来と変更はない。東京都が購入しても地方行政として区画の変更もない。だが、これが国となれば、国として中国とぶつかることになる。そもそも、尖閣諸島については領土問題なく、私的セクターの問題なのだから、こんなところに国が言及するというそのセンスがまったくなってない。