日経新聞社説 常識にかなった「君が代」判決 :日本経済新聞

 お互いに、もういいかげんにせよ――。こうたしなめているような司法判断である。
 卒業式などの国歌斉唱のさいに国旗に向かって起立せず、懲戒処分を受けた教員らが処分の取り消しを求めた訴訟で、最高裁が言い渡した判決のことだ。

 こりゃいい。

 つまり、重い処分は個々に丁寧に判断すべきだという、常識的な判決だ。停職が適法とされた原告は過去に7回処分を受け、実力で式典妨害もしている。ほかの2人にこれほどの逸脱はない。この差が判断の分かれ目になった。
 卒業式などでの国旗・国歌をめぐっては、起立・斉唱の職務命令を不服とする教職員らが反対運動を展開。教育委員会はこれに厳罰で臨み、多くの訴訟も起きるなど対立は泥沼化してきた。
 最高裁は、職務命令に関しては合憲との判断をすでに打ち出している。これも妥当な判決だったが、今回は、だからといってやみくもな処分は許されないとクギを刺した。双方とも、司法が示した「常識」をかみしめてほしい。

 その程度の話。