終風日報編集後記 鼻下長おじさん

 「拝啓Facebook殿 日本のFacebookで恥かしい汚染が広まっております」という記事が面白かった。美しい写真の女性から友人申請が来るので、鼻の下伸ばして受けると、次々と同様にきれいな女の子から友人申請が来るという連鎖で「友人」を増やしていくうちに、その「友人」とやらの経由で怪しげな広告情報などをたくさん受け取ることになる。広告業者のやらせである。▼記事には「はっきりいいますけど、あなたがそんなにもてるわけないっす。(-_-)」ともあるが、普通の中年のおじさんが若い女性から声をかけられることはまずない。あるととてもやっかいなことになる。▼私は54歳になる。若い人からは老人とも見られるし、かつて若いころの自分もその年代は老人に見えたものだ。が内面はついこないだまでは30歳になってしまったなと嘆いていたままだし、40歳を超えたとがっかりしたのは昨日のようだ。身体は若いときのようにもいかないが、気分だけは若い。おじさんの鼻の下が伸びるのもしかたがない。20歳、30歳も年下の女性と結婚したおじさま話などを聞けば、羨望があって不思議でもない。▼50歳も過ぎると、20歳くらいの娘がいてもおかしくはない。自殺未遂をしたという加護亜依が23歳と聞けば、父親に思いが向かう。それはそれだけか。そのやっかいな部分はどうなんだ?▼私小説家と言われる川崎長太郎中島敦より年上だが、昭和60年に83歳で亡くなったから青空文庫登録は遠い。極貧の物置小屋生活を昭和13年、37歳から始め、わずかなカネで娼窟に通う。長太郎はもともと美男子であるが、戦後は文士ということでモテ始め、51歳で人妻と関係になる。61歳で30歳も年下の妻を得る。写真を見ると娘にしか見えない。66歳で脳出血で右半身不随となるも、長命であった。