終風日報編集後記 原発問題など

 ブロガーとしても著名な池田信夫氏がビル・ゲーツ氏と対談したという記事が興味深いものだった。ビル・ゲーツ氏の原発観はこうまとめてられている。▼「彼は福島事故について驚くほどくわしく知っていて、「合理的な日本人が非合理的な反応をしているのは残念だ」と言っていた。特に原発放射線のリスクについての科学的知識が政治家や一般国民に知られていないことが問題を必要以上に混乱させている、と語った。」▼オリジナルの対談を見ていないのでなんとも言えないが、ゲーツ氏がそう言うのだろうかという疑問は残った。また池田氏の考えであろうが、次の点は興味深いものだった。▼「重要なのは安全性だが、AP1000のような第3世代の原子炉には、炉心溶融を物理的に防ぐ受動的安全装置がついており、巨大地震が起きても大丈夫だ。福島第一原発は古いマーク?で、30年前から技術者が危険だと警告していた。日本も「脱原発か否か」といった不毛な論争ではなく、古い原発を新しい原発に代えて安全性を高めることも必要ではないか。」▼旧型のマーク?の危険性は米国側から指摘されていた。第三世代原子炉なら安全ということはないが、おそらく今回の福島原発事故は防げただろう。では、これで十全か。おそらくそういう思考回路からしばらくは抜けきれないのも、しかたがないだろう。▼福島原発事故の問題は多分に燃料貯蔵プールにあった。私は、4号機の水素爆発から見て、1・3号機の水素爆発の原因の多くも多分にプールにあるのではないかという疑念はぬぐえない。また現在の最大の課題は4号機プールにあることは明らかだろう。▼燃料貯蔵プールの安全性は原子炉の安全性の技術とは別の問題だった。そしてその問題の解決の糸口すら見えない。こうした、悲劇的に間の抜けた問題を解決しようとする政治手段もまるで見えない。