終風日報編集後記 私は「どじょう」という首相

 民主党政権になって3人目の首相が誕生する。人格に問題があるのではないかと疑わせる鳩山元首相をすげ替えたのはしかたがないが、続くごたごたはひどかった。菅首相は凡人とはなんであるかを惜しみなく開陳したが、そのあとに置物のような野田大仏。これでは苦笑というほかはあるい。実際に苦笑をこらえ切れない人もいたとNHKが報道し、本紙も拾った。▼「29日、国務省で開かれた記者会見の中で、新たな民主党の代表に野田財務大臣が選ばれたことを巡り、記者の1人が、国務省が日本の総理大臣が交代するたびに似たようなコメントを読み上げていることを念頭に「いつも同じことを言うから抗議しなければ」と冗談を言うと、会見を行っていたヌーランド報道官が一瞬笑いをこらえられなくなる一幕がありました」▼野田氏もこうした事情を存じないというわけでもないらしく、「私はどじょうだ、金魚にはなれない」というしみじみとした冗談を述べていた。なるほどと日本人ならすんなりと理解する。さてドジョウ掬いは誰がやるのか。腰に粘りが必要だが。▼不覚にも「どじょう」を英語でなんというのか知らなかった。調べもしなかったのだが外信を読んでいたら、“I am a loach. I can’t be a goldfish.”とある。かくして"loach"というのかと知ったが、待てよ。グーグルの画像検索をすると感慨深い。日本人が「どじょう」で思い浮かべるのとは違った姿がそこにある。これなら金魚より人の目を引くだろう。