終風日報編集後記 経済の混乱に不思議もないが
先週のフィナンシャルタイムズ社説はこう切り出していた。「戦争においても政治においても、集団を弱体化させるのは指導者の不在である」▼経済紙でもある同紙は現下の経済にこれを当てはめる。「資金の波が安全に見える港へと疾走したのは、先進国の経済政策の自己欺瞞以上のものではない」▼見通しの立たない混乱で、投資がリスク資産を極力嫌うのは当然のこと。この状況をもたらしたのは新諸国の経済政策だというのだ。なんの不思議があるかと。▼不思議はある。先進国でも無策中の無策の日本が安全だと見なされたのはなぜか。円を買っておけばいい。世界の資金は日本の円に安心を見ている。▼しかし、安心な港は一時に過ぎない。急速に集まった金な急速にも消え去る。それをぐずつかせているのは、世界の不安である。▼ならば世界の安定を祈るのではなく、世界の不安定を祈ることが相対的な日本の安定をもたらすだろう。いや、冗談だ。日本の経済政策の真相がそうであったとしても。