雑記、というか没書き

 若い頃よく、「おまえは人の話を聞いてない」と言われたものだった。あまりよく言われるので、そうなんだろうなと了解し、そしてよく聞こうと努力した。が、努力してもさしたる変化はなかった。そのうち、もしかして、と思うようになった。
 もしかして、人の話を聞くというのは、その内容を理解するということではなく、その人の間接的な命令に従えということなのではないかな。
 だから、その間接的な命令に論理的な矛盾があることをきちんと律儀に聞き取って指摘を返すと、「おまえは人の話を聞いてない」ということになるのではないか。そういう仮説に立って、人は自分になにを求めているのかという枠組みを先に処理したほうがよさそうだなと思うようになった。実際のところ、たいていはそういうことだった。
 が、例外がある。ごく稀にというほどでもないのだが、そしてどちらかというとパソコン通信とかで広げた交友の結果でもあるのだが、私の話を聞く人がいるのである。あれ、この人は私の言っていることを理解しているし、さらに理解しようとしているのだというのが、とても斬新に思える。ああ、そう仕儀であれば、いいやと話を詳細にしていく。会話というのは楽しい。というか、もしかすると、そこでも思うのだが、人の話の内容を聞く能力というのは、頭がよいということなのではないか。
 そこから帰結される結論は、ボクは頭がよくってさということになりかねないので、それはちょっとなとも思うので、場合場合で考え直すことにしている。私はおっちょこちょいなのと、人から指摘されて思うのだが(自分ではまるで思っていないのだが)意固地なところがあるので、そういう面は、普通にお馬鹿だろうと思う。
 まあ、馬鹿でもいいやとは思っている。というか、これも自分の性格によるのだろうと思うが、自分が馬鹿であるとかなんとか、そいう話者に対するメタ的な評価はあまり関心ない。個別のテーマでどのような内容が展開されるかに関心が向く。