終風日報編集後記 政治の文脈に置き換えることは理解ではない

 オスロ事件の話ばかりで申し訳ないが、死者数が93人から76人に訂正され、ある種、感慨があった。乱射事件で68人、爆弾テロ8人であった。依然多いことに変わりはないが、我々がいかにこの事件について知らないかを知る機会でもあった。▼終風日報には上がってこなかったが、読売「ノルウェーテロ容疑者、「理想の国」日本や韓国」(http://goo.gl/YLmE8)で「「いま、最も会ってみたい人々」としてローマ法王とロシアのプーチン首相を挙げた。「次に会ってみたい人々」としては日本の麻生太郎・元首相など4人を挙げた」という報道があり、これをネット右翼とかに結びつけるツイートなども見かけた。▼容疑者はテンプル騎士団を模し、原文では教皇が筆頭にあるなら、これは異教徒の国のクリスチャンだろうくらいの想像は付かないものか。麻生太郎李明博と並べられていたが両者クリスチャンである。▼ガーディアンの社説(http://goo.gl/Yw6I5)に、私たちはノルウェーの民主主義が抱える問題よりも、容疑者の精神異常性を考えたほうがいいという主張があった。今回の容疑者は裁判が不能なほどの精神疾患ではなさそうだが、事件を政治問題に還元して理解したことにするのも現代社会の精神の歪みであろう。