朝日新聞社説 リビア泥沼化―停戦を急げ 市民を守れ : asahi.com(朝日新聞社):社説
リビアのカダフィ政権と反体制勢力との内戦は泥沼の袋小路に陥っている。欧米は介入をエスカレートさせているが、不毛な戦闘は犠牲者を増やし、混迷を深めるばかり。ここはすべての勢力が行きがかりを捨て、市民の安全を守るために停戦を急ぐべきである。
人命を守るため、カダフィ政権を交渉の当事者と認めるしかない。
仲介の労は、空爆に反対してきたAUやロシア、中国が一致して担ってほしい。合意できれば市民の安全を確保する停戦監視軍の派遣も必要だ。
ところで、話は遡る。
3月20日の朝日新聞社説「リビア介入―市民の保護を最優先に : asahi.com(朝日新聞社)」ではこう。
だが、政府軍に対する大規模な攻撃へとエスカレートすることになれば、本格的な戦争に拡大しかねない。
独裁政権による虐殺が起きようとしているときに、国際社会はどう対応すべきか。
飛行禁止空域を認めた国連安保理決議は、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の前例がある。少数派を空爆から守るためだった。双方が武器を持って戦っている内戦の一方を軍事的に支援する点で、今回は介入の度合いがいっそう強いと言える。1990年代のソマリア紛争では、国連部隊が反撃して内戦の当事者になってしまった。逆にルワンダ紛争やボスニアでは国連部隊が現場にいながら虐殺を防げなかった。
こうした苦い教訓から、国際社会は「保護する責任」という新しいルールを決めた。国家には国民を保護する責任があり、もし国家がその責任を果たせないときは国際社会が代わって果たすべきだ、という考えだ。人権は国境を超えて守られるべきであり、内政不干渉の原則には例外があるのだ。2005年の国連の首脳会合の成果文書に盛り込まれた。
今回は、この新しいルールの試金石となる。決議には中国やロシア、ドイツなどが棄権した。一方でアラブ連盟は武力行使を支持し、飛行監視に参加するというアラブの国もある。
決議の目的は内戦へのてこ入れではなく「市民を保護する」ことである。政権側の地域にも守るべき民間人がたくさんいるのを忘れてはならない。
国際社会は必要以上の威嚇や挑発を控え、停戦への努力を最後まで続けたうえで、最小限の介入で「保護する責任」を果たすべきである。
見誤りましたね、朝日新聞社。