曇り

 雨は海側を過ぎるようだ。
 再読の「明暗」を昨晩読み終える。面白かった。結末というか途絶までの話を知りながら推理小説のように読むと以前とはまったく違う印象もあった。冒頭の医師名が小林なのは偶然ではないだろうし、途中も病状の体感は彼の存在を反映しているものだった。
 清子の印象は大分変わった。処女であり、由雄が最初の男だったのだろう。であれば、こういう転機はあるのだろうと意外にすんなりと理解するものがあった。愛に対するあり方は、本質においてお延とさして変わるものではないのかもしれない。
 書かれざる顛末ではお延が命を賭けるような事件となるのは必定であろうし、清子や死ぬのだろうと思った。と思いつつ、水村の続編が筑摩に移ったこともありぽちった。まあ、読んでみるかな。
 今朝がた谷垣禎一さんの奥さんの訃報を聞いた。病状は知らない。谷垣さんも病む奥さんを抱えての政治活動であったかと同情した。奥さんも司法書士を目指す早稲田の学生であり、夫婦ともにスポーツが好きであったとのこと。柴田翔の小説の風景のようでもある。
 春樹のインタビューで1Q84の続編を知る。天吾は老いるとのこと。年代はいつだろうか。天吾は私より少し年上なので、老いるといっても私程度だろう。青豆は生きていないだろうという気がする。彼女の場所はない。深田保が転生したように、牛河も転生するだろう。