朝日新聞社説 高齢者医療―こんな改革はいらない

 いたずらに混乱を招くだけで、副作用が大きすぎるような改革は、やめるべきだろう。

 まあ、それを言うなら民主党政権そのものも。とはいえこちらは、はい止めましたともいかないか。

 これで民主党政権公約に掲げた「今の制度を廃止する」との約束を守ったと説明はできても、看板を変える以上の意味は見いだせない。
 その一方、各保険制度ごとに「別勘定」ができるため、お金のやり繰りは格段に複雑化する。制度のわかりにくさは、それ自体が不信を招く要因だ。高齢者と、それを支援している現役世代の双方が納得できないような制度になりかねない。

 名目作りで悪化したのですよ。

 政府は来年の通常国会に法案を提出するというが、こんな案は出すべきでないし、通るとも思えない。
 きのう、政府・与党社会保障改革検討本部が官邸に設置された。医療、介護、年金などを含めた改革の全体像について、財源の確保と一体的に議論するという。高齢者医療の混迷も、むしろ増税の必要について議論を深める契機と考えたい。
 新規の財源という要素が入れば、「年齢で差別し、負担を押し付け合う」現状を脱する道も見えてくる。その前に制度を変えても、また変更が必要になることは目に見えている。二度手間は避けるのが当たり前だ。

 麻生さんにまかせておけばよかったのに。