日経 春秋

 色鉛筆で地図を塗る。澄んだ気持ちならスミレ色。わくわくする気分はオレンジ色。慈しむ心はハスの花の色。地域ごとに聞き取った情報を基に、住民の幸福度を描いていく。人々の心の風景を示す地図づくりは楽しい作業に違いない。▼ヒマラヤの小国ブータンには、そんな色鮮やかな地図があるそうだ。国民総幸福(GNH)という指標を使った政府の仕事の一つである。人によって感じ方が違う幸せを客観的に測るのは簡単ではない。素朴だが丹念な聞き取り調査で、分かることは多い。来日した国立研究所のカルマ・ウラ所長が教えてくれた。

 ⇒ブータン難民発生の経緯
 ⇒§6.南部問題