朝日新聞社説 駅という公の場―ホームと心に安全柵を : asahi.com(朝日新聞社):社説

 いいテーマだと思う。そして難しいテーマだ。

 時間が遅くなると、酔客が増えてくる。近頃は、ホームや車内でアルコールの缶を持ち、駅員につっかかるオヤジを見るのも、日常茶飯だ。
 駅という公共空間で、人はこんなにも無防備で、無関心で、無遠慮になっている。確かに安全柵は必要だ。だが一人ひとりの「心の安全柵」の方こそ、もろくなってはいないか。
 駅のプラットホームで、考え込んでしまった。

 露骨に言うと、まず酔客を撲滅しろというのはある。おそらく悲惨な事故の大半はそれに起因しているからだ。
 しかし、不思議なのは、なぜ増えているのかだ。

 国土交通省の調べでは、ホーム上で、あるいは線路に転落して列車に接触した死傷事故は、昨年度は193件。6年前の1.8倍にも増えている。近年は酔客の事故が目立つ。

 実感としては、整列行動がきちんと行きすぎるシステム的なエラーなのではないかという気がする。適度に列を乱す変なのが混じっているほうが安全ということはないんだろうか。