曇り

 蒸し暑い。
 見逃していた「花の乱」がDVDになっていた。一話だけ見た。存外に面白いものだった。
 NHKの影山解説員が亡くなった。自殺だった。56歳だった。もう少し自分より年長かと思ったが、今年53になる私にしてみると、3、4つ上ということか。池信先生くらいのお年であろうか。ということは池上さんとも同じか。してみるといろいろ連想はわく。
 影山さんは意外に舌鋒鋭い人だった。鳩山政権の問題はけっこう厳しく追及していた。
 自殺場所がNHKだったこともあり、NHKの関係も考えられないことはない。家族への手紙もあったらしいので、自殺はまあ間違いないだろう。ただ、その意図が固まるのはそう入念な決意でもなかったのではないか。トイレにネクタイで首を吊るというのは、本当に死にきるというなら軽率すぎる。政治に関わってきてそれがわからないでもないと思うが、そこまで精神的に追い詰められていたのだろう。
 おそらくは一種の鬱病というか精神的な問題ではないか。手元に残る最近の映像はないかとHDRを探したがなかった。もともと斜の姿勢で暗い印象はある人だった。
 ご家族の問題があるかはわからない。ネットなどではカネをもらっていたのだろうと浅ましい推測もある。まさか。普通に考えれば、仕事の行き詰まりだろうし、NHKの仕打ちのようなものも連想されないでもない。しかし、そこは自尊心みたいなものを膨らませず転身をどう図るかはご先輩の身の振り方をみてわからないものでもない。
 50歳を過ぎてみて自分でも思うのは、人生が折り重なってくる、ある耐え難い苦しみというのがあると思う。もちろん、人それぞれだが、それでもある、共通した普遍的な、年を取らないとわからないつらさというのはありそうだ。
 というところで私自身の内省だが、いろいろ思うことはある。
 ネットをやっていると奇妙な執拗な嫌がらせを受ける。ハンドル名でどうどうと非難するなら、まあ、それもそういう見解はあろうと思うが、そうではない、絵に描いたような卑劣な人間はいるものだと思う。と書くと責めているようだが、そうしたある種の影のようなものは、人の苦しみの救いとして不思議に機能することがある。このあたりはうまく言いづらい。私を侮蔑するものにその相応の祝福あれ。