読売新聞社説 所得税論議 最高税率引き上げは問題多い : 社説・コラム : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 微妙に変な議論。

 国民所得と対比した日本の個人所得課税の負担率は7%にとどまる。10%以上の欧米を下回り、基幹税としての役割が低下しているのは事実である。
 しかし、累進構造を強めたとしても、負担する高所得層の数は限られるため、国の税収全体から見て、増収分はわずかなものだ。

 それはそうなんだが、昨日のニュースだったかそんなに金もらって人の首を切るわけ的な経営者への怨嗟は日本の気風。

 所得税と住民税を合わせた個人所得課税の最高税率は、1980年代には88%に達していた。
 「こんなに税金が高いと働く意欲がなくなる」。そんな声に押されて、米国や英国の税制改革に歩調を合わせるように日本でも最高税率が引き下げられた。
 現在は50%だが、それでも米ニューヨーク市の47・6%、フランスの48%などを上回っている。

 これも理屈はそうだが、当時はこれに抜け道があった。会社の資金を事実上使うことだった。よいことではない。
 まあ、こうした問題は日本の気風みたいなものもある。というのは、欧米では高額所得者たちはそれなりの貢献が実質求められる。大学にポンと施設を寄付したりと。そういうふうに日本が動くかといえば、あまりないように思える。
 あと、戦前の金持ちは趣味がよくそのためにカネを使った。そういう趣味の良さみたいのも昨今はあまり見ないように思う。というか、そういう社長の趣味の良さみたいのがうまく滲んでいる企業があるだろうか。

 各種の控除を縮小すれば最低限が下がり、より幅広い層に税負担を求めることになるが、国民が広く薄く負担するという税の原点からみてやむを得まい。

 マスコミは意外と高額所得なんで知らないだろうけど、実は、この点で自民党のほうが格差是正の実質を担っていた。そのことはいずれ民主党の無策政治の結果になって出てくるだろうと思う。あまり阿鼻叫喚みたいのをみたくないなと思うし、他人事でもない。