日経新聞社説 郵政法案の拙速審議は禍根を残す :日本経済新聞

 政府の考えが100%正しく、他の意見は「妨害」「間違い」だと断定するような亀井氏の言動には、国会での審議を軽視する響きがある。
 法案の中身は「非効率な官業から民間へ資金を流し、日本経済の活力を高める」という郵政改革の当初の目的に逆行する部分が多い。
 政府案は、日本郵政がゆうちょ銀行とかんぽ生命保険の株を完全売却するのをやめて、ともに3分の1超ずつ保有し続け、預金や保険の上限額を約2倍に引き上げるものだ。国の関与によって収益を確保し、過疎地を含む全国一律サービスを一段と強化するのが狙いである。
 郵政民営化の理念に反していると言わざるを得ず、しかもその法案を極めて短時間の審議だけで通すのは禍根を残すだろう。いったん廃案にして、法案の中身を見直し、仕切り直すのが筋である。
 終盤国会は国家公務員法改正案や政治主導確立法案、労働者派遣法改正案、地域主権改革関連法案などの扱いも焦点となる。全体的な審議の遅れは、民主党が何よりも「政治とカネ」を巡る問題で、野党の審議要求に背を向けてきた結果である。
 小沢氏は自らの資金管理団体政治資金規正法違反(虚偽記入)に絡み、いまだ衆院政治倫理審査会に出席していない。米軍普天間基地の移設を巡る迷走も、党首討論や集中審議などで十分に議論すべきである。
 都合の悪いテーマはほおかむりし、法案の強行採決をくり返すような対応は決して許されない

 劣化自民党の面目躍如。