日経春秋 春秋(1/13

 万葉集に名の知れぬ旅人の一首がある。「足柄の箱根飛び越え行く鶴(たづ)の羨(とも)しき見れば大和し思ほゆ」。妻が待つ都への望郷の念を鶴に映した歌だ。大空とそこを飛びかう鳥に、翼を持たない人間は古来あこがれ見果てぬ夢を託してきた。

 JALの話で「鶴」ネタに万葉集をひいたというくらいのことなのだろう。
 この手の歌の、「鶴」や「大和し思ほゆ」が何を意味しているのかは、現代ではよくわからない。「大和し思ほゆ」はあるジャンルを指しているのだろうし、「鶴」は死霊であろう。