朝日社説 日米首脳会談―新しい同盟像描く起点に

 まいったな。

 そんな両首脳にとって、今回の会談は失敗が許されないものだった。そのために幅広い領域での合意を成果として強調したが、日米関係をきしませている普天間問題は先送りした。
 だが、そのことはこの会談の意義を損なうものではない。

 普天間問題先送りが会談の意義を損なわない、と、まさか、普天間飛行場の日々危険な状況を朝日新聞はご存じないわけもなかろうに。先送りされているうちに米議会が在沖海兵隊移転予算をつぶして普天間飛行場固定化になるのだが。そしてそうなれば、日本はヒステリックに米軍は沖縄から日本から出ていけということになる。国民がそう選択するならそれはそれでよいが、日米同盟は終わる。

 さまざまな分野で協力を強化する日米同盟の「深化」。半世紀に及んだ自民党政権にとってかわった鳩山民主党政権にとって、日本の安全保障と外交の基本を米国との同盟に置くこと、地球規模の課題でも信頼できる同盟パートナーであり続けること、の2点を米大統領と確認しあった意味は大きい。

 だから、普天間問題を放置すると「日本の安全保障と外交の基本を米国との同盟」が毀損される。
 それと、「地球規模の課題でも信頼できる同盟パートナー」の「同盟パートナー」は比喩。それに対して、「日本の安全保障と外交の基本を米国との同盟」というのは軍事同盟を明示する。比喩と明示が混乱している。

 中国の経済的、軍事的台頭が著しいこの地域にあって、日米が同盟を基礎に連携し、結び合うことは双方の国益にかなう。地域の安定を保ち、繁栄を続けるためにもそれが欠かせない。両首脳が語り合った同盟強化の根底には、そんな共通理解があるはずだ。
 中国自身も地域の安定は望むところだ。来週、中国を訪れる大統領には、良好な日米関係を基盤としつつ、中国とどのように連携していくか、大きな構図で語ってもらいたいと思う。

 前段はよいのだけど、後段は、同盟と友好関係の違いがわかってない。それ以前に、中国は民主主義国ではないので、米中同盟があるとすれば民主主義と世界自由市場の維持というイデオロギーを米国が放棄することになる。が当面、なさそうなのは米印を見ればわかること。

 首脳会談では、地球温暖化対策や「核なき世界」への取り組みなどで一致してあたることを合意した。
 鳩山首相が選挙で訴えてきたテーマでもある。従来の、安保と経済に偏りがちだった日米協力が新しい次元に入るということだろう。日本の有権者は歓迎するに違いない。21世紀の同盟のあり方を描き出す起点としたい。

 日米同盟というのは、日本が米国の核の傘の下にあるということを意味しているのに。

 同盟とは、互いの国民が納得感を持ち、信頼しあえるものでなければならない。

 何に信頼を持つのかが、内政向きではなく、諸外国との関連で問われなければならない。というか、だから軍事同盟なのに。
 日本が米国との軍事同盟を解消するなら、単独として軍備するかそれに等しい別の機構を考えるか、あるいは、米国外の軍事同盟を模索するのか。というか、「日本が米国との軍事同盟を見直し、アジア共同体」とか言えば、国際的には普通に、別の軍事同盟を意味する。そしてそれは日本の置かれた環境では軍事大国化する中国との関連に置かれる。