朝日社説 鳩山政権誕生へ―歴史的使命を自覚せよ : asahi.com(朝日新聞社)

 民主党が本当にこのぶ厚い岩盤を突き崩すことができるのか、穴をうがつことができるのか、国民は疑問に感じているということなのだ。
 心配のタネはすでにいくつも見える。郵便局長会、農協、医師会……。総選挙の指揮をとった小沢氏は、自民党と長く蜜月関係にあった組織を次々と民主党に引き寄せてきた。
 その結果が大勝につながったのは確かだ。だが、郵政民営化の見直しにしても、では見直しの先にどんな郵政事業の未来図を描こうとしているのか。肝心のそこに答えはまだない。拙速は避けて日本経済の大きな視野からそれを示すのが亀井担当相の責任だ。
 貿易・投資の自由化の推進が民主党の主張だ。そのために日米自由貿易協定(FTA)を「締結する」と公約にうたったはずだった。だが、農協などの猛反発に遭うと「交渉を促進する」とあっさりトーンダウンした。
 結局のところ、自民党に代わって、今度は民主党が「業」や「官」となれ合うことになってしまっては、政権交代の意味は大きく損なわれる。
 野党時代であれば、「政官業の癒着を断つ」といったスローガンを唱えていれば安全地帯に身を置くことができた。だが、政権党となれば、それでは済まされない。
 業界や団体、経済界の主張にはもちろん、耳を傾けるべきものはある。大事なことは、その妥当性や公平性、効率を見極め、政策の優先順位を厳しく吟味することなのだ。
 業界益に引きずられるようなら、自民党政権時代と大差あるまい。かといって、道理のある主張をやみくもに退けるだけでは、国民益に反する。

 すでにかつての自民党政権と大差ないという状況になっているようだが。