朝日社説 asahi.com(朝日新聞社):社説 2009年7月27日(月)生物多様性―企業も役割を担い始めた

 地球上では1日に100種類もの生物種が絶滅しつつあり、速度は過去の1千倍という。その大きな原因は、自然を変えてきた人間の活動だ。
 絶滅した種の再生はできない。影響の広がりも未知数だ。だが、メダカが姿を消したり、世界的にミツバチが減ったりして、野菜や果物の生産に響く。身近でこんな異変が起きている。

 ミツバチの減少理由は不明だが総じて見ればこれは一種の家畜化の影響で、それがないとそもそも特定の野菜や果物の生産が現状レベルではできない。生物多様性を大切にするとかを懐古的に考えるなら、こうした生産物の市場が壊滅する。というか、他の動物の家畜化も生物多様性に即していない。ではというときどういう世界が見えるかという、なんつうか、自身も家畜化した人間の業というものが……。

 万物に八百万(やおよろず)の神を見いだす国である。自然を人間が働きかける対象と見がちな西欧に比べ、生き物との共生には親しみがあるはずだ。温暖化ガスばかりでなく、身近な生き物からも地球環境の危機を考えていきたい。

 いつも不思議だと思うのだが、万物に八百万の神とか自然に親しみとかいうけど、その自然がこの数日どんなに荒れ狂って人間を殺傷しているのか、というか、普通に人間の営みというのが自然に向き合うことだという認識がぽかんと欠落する人はどうなんだろ。というか、八百万の神が荒れ狂っているとでもいうのだろうか。普通に人間存在というのが反自然的であり、その分人間は自然の過酷さに向き合って生存してきたのに。