朝日社説 asahi.com(朝日新聞社):社説 2009年7月25日(土)凍結国道再開―これほど簡単に覆るとは

 これがよくわからないと思案しているうちにひどい展開になった。

 国土交通省が「巨額の税金を投入する割に、得られる便益が小さい」と、着工ずみの国道18路線の工事を凍結したのは3月だった。それからわずか4カ月。17路線で工事が再開されることになった。
 予算のムダ遣い批判を受け、国交省がようやく一歩を踏み出したように見えた道路改革は、あっさり後退した。一体何のための凍結だったのか。

 凍結には地元自治体や地元選出の与野党国会議員が猛反発した。その圧力がこの「復活」劇につながったのは間違いない。簡単に復活を認めた金子国交相をはじめ政府・与党の責任は大きく、「総選挙向けのバラマキ」と批判されても仕方ないだろう。

 かくしてこれが朝日新聞によれば「政府・与党の責任」だそうだ。
 民主党政権になったらそこのところを私はきっちりと見ていこう。

 再評価の手法もいいかげんだが、それ以前に「優先順位や着工時期の延期はあっても、計画された道路はいずれ必ず造る」という国交省の発想そのものがまず間違っているのではないか。理由は主に二つある。
 第一に、人口減少社会となり、道路需要が増え続けることは前提でなくなった。地球環境問題への配慮も必要だ。鉄道などに比べ温室効果ガスを大量に排出する自動車の利用をなるべく抑えたい。そうした政策と矛盾しないような道路計画でなければならない。
 第二に、今後の財政運営の厳しさがある。日本はもともと先進国で最悪の財政状態だ。そこに世界経済危機で巨額の財政出動を余儀なくされ、財政は一段と悪化した。今後、公共サービスを営むための原資はいっそう厳しく制限する覚悟が必要だ。

 そう地方に朝日新聞が言えるのだろうね。

 「道路がいるか」と地元に問えば「欲しい」という答えが返るだろう。だが、これだけの財源をどう使うかと問えば、また違うのではないか。医療や介護、教育など予算が必要な分野は目白押しだ。これからは公共事業に頼らない地域振興も考えねばなるまい。

 国と地方がどうあるべきかという発想は朝日新聞にはないのだろう。