朝日社説 asahi.com(朝日新聞社):社説 2009年7月3日(金)イラク米軍撤退―独り立ちへの試金石だ

 なんだか頭の悪い薄ら左翼のおっさんの説教を聞いているみたいだと、なんとなく毒付きたくなる。成果だとすれば、オバマの成果じゃないよ。マケインの成果だ。その礎石をなんとか形にしたライスの功績ではないのか。

 背景には、旧体制を支えたスンニ派と、当時は抑圧されていたシーア派クルド人との根深い対立や不信感がある。06年には宗派対立が激化し、一時は内戦状態にさえなった。
 マリキ政権には治安部隊の一本化を急ぐとともに、国民和解に力を入れてほしい。スンニ派自警組織の生みの親である米軍は政権との間にたって治安部隊への編入を進める責任がある。

 先日のテロを見るとクルド問題は潜在的に危ない状況が続いているようだ。ただ、原油価格が落ちたので利権性は下がったか。不思議なのは、イラク戦争、というか戦後処理がうまく行けば、原油が落ちて今に近い状況になった可能性はある。米世論も日本の世論も、ブッシュとネオコンを叩くが、国連不正と絡んだ原油操作的な動きはきちんと解明されなかった。ネオコンというか実際にはネオコンとずれるのだがチェイニーはサウジをメインに考えてしまった(サウジに原油の重要性を担わせるという点で矛盾していた)。多くの失政はあった。しかし、単純な問題ではなかった。

 同時に、米軍全面撤退後のイラクを安定させるには、周辺諸国の関与が欠かせない。アラブ諸国欧州連合、ロシア、日本なども加えた国際的な枠組みをつくる必要がある。これも協調を掲げるオバマ政権が主導すべきだ。
 特に、イラクシーア派に影響力を持つイランの協力は欠かせない。大統領選挙後の混乱で米欧はイランへの批判を強めている。だが、だからといってイラク問題での対話も閉ざしてしまうのは誤りだ。

 イラクシーア派とイランのシーア派は一枚ではない。それどころかイランの宗教指導者が一枚ではない。そしてスンニ派シーア派の台頭を許さない。
 「アラブ諸国欧州連合、ロシア、日本なども加えた国際的」と書く暢気さこそ日本のポジティブシンキングというものだろうか。アラブは潜在的な核時代と老人達の世代交代に潜在的な危機を抱え、EUの問題はいうまでもない、ロシアはお陀仏に近いのを日本が好機に利することもしない。

 国連による支援も再構築したい。国連は米軍占領下で爆弾テロの標的となり、撤退を余儀なくされた。しかし、国民和解や選挙実施など、紛争後の国づくりで国連が持つ豊富な経験を活用すべきだ。

 国連議長はいい仕事をしている。つまり、国連とはそんなものだ。そして国連が狙われた理由を執筆子が知らないなら脳味噌が平和過ぎる。