はてな依存・ネット中毒…。「廃人」の実態が明らかに

はてな廃人』の著者、石垣終風氏に聞く
inspired by ゲーム依存・ネット中毒…。「廃人」の実態が明らかに
 
 ――まず、ぶこめとか増田にはまる人々を取材しようと思われたきっかけと、取材相手をどのように募集したかを教えてください。
 
終風 僕の知り合いで、30歳過ぎたいいおっさんが増田やブコメに熱中し、偉そうにブックリストをひけらかしたり、派遣村支援に行ったりという話を、何人かから聞いたためです。これはどうしたことだ、というのが取材を始めたきっかけでした。
 調べてみると、ぶこめや増田にはまったのは社会からきちんとドロップアウトできない人が増えたかららしい。彼らは「はてな廃人」と呼ばれるが、これは蔑称的な意味合いだけでなく、「ネットの世界ではこんなに知的だ」という尊敬や、自嘲、プライドのようなものも混じっているようだ。
 例えば、本の最初に登場する30代男性は、東大を中退した人でした。2番目の男性も、公務員で堅いマンネリ作業をしている30代。
 2人とも依然「はてな廃人」を脱却できない人たちで、自分の現状を冷静に振り返ることはできないんです。引きこもってうつうつとしている人かと思っていたら、そうではない。
 昼間は組織の中でもくもくと働いて、夜は家に帰ってはてぶの世界で暴言リーダーになる。暴言もゲーム化していて、数十人のグループの戦略をまとめないといけない。会社なら部長、中間管理職のようなものです。リアルな社会のしがらみを、夜はまたゲームで繰り返さなければいけないことが、ストレスになってしまう。
 
――依存症を治す方法はあるのでしょうか。
 
終風 パキスタンの奥地ですが、非現実世界への依存症を治すための「矯正塾」もあるそうです。「治療キャンプ」では、カウンセリングと同時に騎乗、後背など体を使ったプログラムに入っている。
 また、ネット時間を少しずつ減らし、別の喜びを与えるようにする。なかなか品質のいいブツが現地はあるそうですし。このやり方で、6割くらいはいい方向に向かっているようです。