NHKスペシャル ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる

 「ラジル政府、および部族の長老7名との10年近い交渉の末、TV局としては初めて長期の同居が許されたもの」とのこと。
 ⇒NHKスペシャル|ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる

 アマゾンの最深部に1万年以上、独自の文化・風習を守り続けている部族がいる。欧米人に“最後の石器人”と呼ばれているヤノマミ族だ。現在、ヤノマミ族は2万人。40〜200人で一つの集団を作り、ブラジルとベネズエラにまたがる広大なジャングルに分散して暮らしている。
 私たちはその一つ、ワトリキ(風の地)と呼ばれる集落に150日間同居し、彼らの言葉を覚え、彼らと同じモノを食べながら撮影を続けた。森の中、女だけの出産、胎児の胎盤を森に吊るす儀礼、2ヶ月以上続く祝祭、森の精霊が憑依し集団トランス状態で行われるシャーマニズム、集団でのサル狩り、深夜突然始まる男女の踊り、大らかな性、白蟻に食させることで天上に送る埋葬…。そこには、私たちの内なる記憶が呼び覚まされるような世界があった。

 映像からはそれ自体で完結した世界のようにも見えたが、基本的に描かれているのは、ワトリキ(風の地)のみ。
 当初これは見ないつもりでいた。見てもありがちな物語に仕上げるのだろうくらいの思いだったが、が、録画したのは、朝のラジオで取材の人の話を聞いたからだ。ほとんど死にかけたくらいのものだったらしい。
 ヤノマミの人も人間であり、基本的に今回は向こうが友好的なのでそれの交流があるはず。映像に含まれるそこはおもしろいのではないかと期待した。結果からいうと、そこはすこんと捨象されていた。
 冒頭いきなり新生児を「天に返す」の詩的ムードから始まったので、ヤバス、とか思った。実際そういうストーリーで進んでいた。しかたがないだろう。
 個人的におもしろかったというか、なるほどと思ったことは、ブラジル政府の結果的な医療的な介入で、ヤノマミの人口が増えていたという点だった。
 ⇒ヤノマミ族 - Wikipedia
 衣服らしいものもつけていることがあり(女性)、鉄製のナイフも使っていた。これらは政府が与えたものらしい。それらも人口増加に影響しているのだろう。
 見ながら、ちょっと警戒していたのは、“最後の石器人”という先入観だった。彼らは単にその自然環境に適応しているだけで、別段太古の生活でもないのではないか。または、その宗教観というのは、ある時期の王権の名残かもしれないとも思った。つまり、人類の進化史みたいなものの途中経過というものではないだろう。アフリカなども未開というよりは王権の存続の問題なのだろう。
 で、番組に戻ると、おもしろかったなのだが、ようするに、人間種というのは多産すぎるということだ。生存率が低いのと、おそらく食われてしまうからなのだろうが、しかし、生存環境が緩和だと、多産それ自体が共同体に影響を与える、と、いうことは、人類種というのは、必然的に、中絶を文明の根幹に据えるようにできているのか、と。そしてそれが心理的共同幻想的に内在化せざるを得ないようになっているはずだ。なるほどね。
 あと、ヤノマミは一夫一婦制らしい。ほぉ。というか、これの部分も人間種に関連しているのだろう。また、グレートジャーニーの文明みたいなものはすでに消失されてはいるだろう。というか、ヤノマミのような定住性はグレートジャーニーとは違うものだろう。