朝日社説 オバマ大統領就任―米国再生の挑戦が始まる : asahi.com(朝日新聞社):社説

 昨年、ノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン教授は、戦後の米国が豊かな中流社会を実現できたのは、こうした政策の結果だったとしている。
 しかし、「政府がどう問題を解決するかではなく、政府そのものが問題なのだ」という80年代のレーガン保守革命以来、市場任せの新自由主義が全盛になった。肥大化した政府支出を抑え、大減税を進める。規制の撤廃が進み、格差は開いていった。そのたどり着いた先が、現在の窮状である。
 オバマ政権は「政府には果たすべき役割がある」と、振り子を再び戻す。クリントン大統領が失敗した国民皆保険の導入にも挑戦するという。

 ここはあまり粗雑に議論できないところで、政府という場合、軍事・外交を担う連邦=国家なのか州=国家なのかが問われ、そしてそこでまた官僚なのか地域住民の関与なのかが問われるところだ。さらに実際にはその双方に移民の問題が関わる。このあたりの感覚はあまり日本には見られないように思えることが議論が粗雑になりやすい傾向をもたらしているのだろう。あと個別にいうと米国の大きな課題は、連邦とベイビーブーマーの生活援助費の問題がある。ここが日本ではきちんと問われていないように思うし、そのあたりで本当の危機が10年後くらいにあるかもしれない。

 イラク戦争への反対では、一貫している。最高司令官としての初仕事は、公約である16カ月以内の戦闘部隊の撤退を軍に指示することだ。
 イラクの治安が悪化しないよう配慮しつつ、「間違った戦争」を一日も早く終わらせなければならない。

 このあたりは先日も引いたがWPが参考になる。
 ⇒Mr. Bush Exits - washingtonpost.com

But, as matters in Iraq now stand, there is a decent chance of a reasonably pro-American incipient democracy in the heart of the Arab Middle East. This would be a major accomplishment, and one that would cast the invasion, the failures of the early years of occupation and the painful loss of more than 4,000 American lives and many thousand more Iraqi lives in a different light than the one in which they are seen by most Americans now. It would also vindicate his unpopular decision to stabilize Iraq with more U.S. troops rather than abandon it to civil war and possible genocide -- an instance in which Mr. Bush's self-assurance and steadfastness paid off.

 実際のところイラクについてはエジプトやトルコのような穏和な国家に支援していくしかないので、朝日のような短絡的な議論では展望はない。