日経社説 国民に安心与える外交を

 楊外相は、日本側との捜査協力を進めるために担当部署から連絡させると約束したという。ギョーザ事件では捜査当局の見解が対立していた。中国の捜査当局には真剣な取り組みを求めたい。
 その意味で中国側から新たな情報の提供がなかったのは残念だ。現状では製造元の天洋食品(河北省)が回収したギョーザが再び出回った事情さえわからない。不可解だ。

 餃子だけが問題じゃないというのはあると思うが、それにしてもこの「不可解」を自然に前提して考えないと中国とはやってけない。

 中国当局は依然、中国での中毒事件の発生を公表していない。加工食品の品質チェックを担当する国家品質監督検査検疫総局の局長が自殺したとの報道もある。中国の「食の安全」への不安はますます高まっている。福田首相が強調する「消費者の目線」は外交でも忘れてはならない。国民不在の情報統制を改めるよう中国政府に促していくべきだ。

 中国の情報統制はしかたない面もある。
 「国家品質監督検査検疫総局の局長が自殺したとの報道もある」と書く日経がなさけない。この怪情報は欧米メディアはしばらく様子をみて流した。