日経社説 誰が世界を保護主義から守るのか

 日経新聞、怒っております。そりゃな。

 交渉では米国と欧州連合(EU)が譲歩案を示した。大筋合意への道筋が見えた局面もあった。だが途上国代表を自任する中印が合意案に反発。いわば「拒否権」を発動する形で交渉はあっけなく頓挫した。
 中印だけでなく、ブラジルも主要な交渉国として常に議論の中心に座り続けた。指導力が薄れた先進国に代わって存在感を見せつけたのは、これらの新興経済大国である。グローバル化が進むほど、世界経済の秩序を統治する力は拡散する。国際ルールづくりは、今後ますます難しくなると覚悟しなければならない。
 日本の働きはどうか。今年の主要国(G8)首脳会議の議長国である日本には、米欧や中印以上にWTO交渉に深く関与し、大筋合意に向けて貢献する責任があったはずだ。
 実際には、農業分野の防戦に躍起になるだけで、交渉の流れにすらついていけなかった。本来ならアジアの仲間の中印と米国の間に立ち、進んで調整役を買って出るくらいの意欲を持つべきではないか。

 まったくね。

 海外市場と貿易で経済成長力を保つ日本が、途上国に「保護主義国」と呼ばれるようでは情けない。交渉決裂に胸をなで下ろした農業関係者や政界の農林族もいる。農産品の関税削減は先送りとなるが、安心している場合ではないはずだ。
 高齢化と生産性の低迷に悩む日本の農業は存亡の危機に直面している。今こそ農業改革に果敢に取り組むべき時だ。耕作放棄地の対策や次世代の農業担い手の育成、企業の参入機会の拡大などを早急に進めなければならない。
 日本農業の行く末を真剣に案ずるのであれば、進むべき道は市場閉鎖ではない。耕地規模を拡大する改革と、高率関税に頼らずに農家を支援する方策を考える必要がある。

 そう。
 ちなみに、「高率関税に頼らずに農家を支援する方策」は「ばらまき」というルビなんだけど。