日経社説 スーダン大統領へ重い一撃(7/21)

 後出し分の長はあるかな。

 確かに大統領を逮捕しようという動きはリスクを伴う。ダルフールには国連とAUの合同平和維持部隊(UNAMID)約9500人が展開し、紛争拡大を抑えている。
 逮捕状が出れば、バシル大統領が同部隊の撤収を求めるかもしれないし、政府系民兵が援助団体を襲う可能性もある。そうなれば、事態は悪化する。

 ダルフール危機の本質がジェノサイドだということは今回の件でとりえず、そうなのか的な議論の余地は減った(もちろん疑念の議論はあってもいいけど)。問題はむしろここまで放置してしまったことで今となってはという部分が大きい。特に目下の問題としては、「そうなれば、事態は悪化する。」がかなり問題。
 先日は右派っぽいテレグラフを引いたので今回は左派っぽいガーディアンだけど。
 ⇒Editorial: Don't let him off | Comment is free | The Guardian

So why indulge in a judicial charade that will not deliver justice but could pose a significant additional risk to an aid operation which is already struggling?

 でと、日経社説に戻って。

 しかしダルフールでは、今なお悲劇が進行中であることを忘れてはならない。責任者に圧力をかける必要がある。ICC検察官の対応は十分理解できる。
 中国は逮捕状請求に憂慮を表明した。中国はスーダンへの最大の武器供給国であり同国の石油産業への主要投資国でもある。自らの権益を守るための対応であるとすれば、遺憾だ。

 クサシに取らないでほしいのだけど、こういうところが朝日新聞もそうだったけどこの問題をよく理解してない点。ちょっと偽悪的に聞こえるかもしれないけど、国際問題としてみた場合実質的な責任者は中国なんだよ。
 この中国というか北京と胡耀邦系の共産党組織がようやく上海閥的な旧勢力と均衡できるようになってかなり改善されてきたけど、まだまだ危うい。というか中国に対外的なヘッドが存在しえなかった。
 で、前回も触れたけど、今動けるのは中国。というかバシルにチャネルをもてるのは胡錦濤くらいしかない。しかも胡錦濤は事態をわかっている。
 で、目下の問題の国際側だけど、これをごりっと「責任者に圧力をかける必要」とやるとバシルはアラブ諸国の被害感を強化し、そして中国にVetoを強いるようになる。
 つまり、目下の問題は⇒China may veto attempt to arrest Sudanese president on genocide charges | World news | The Guardian
 中国オリンピック後、米国が同じく4年に一度のバカ祭りやっている際に、中国にVetoを強いるような枠組みつくっても辛うじて生き残ったダルフールの人々になんら益はない。