日経社説 物価、復興、株安――難題増す中国経済

 中国人民銀行は7日、市中銀行から資金を吸い上げる預金準備率を1%上げ、17.5%にすると発表した。準備率引き上げは今年すでに4回実施していたが、今回は物価指数発表に先立つ抜き打ち的な措置だったうえ、上げ幅も2倍にした。
 引き締めを強めた形だが、投機的な資金流入を抑えるために金利引き上げに踏み切れない苦しい事情もうかがえる。引き締めと同様の効果を期待できる人民元の対ドル相場上昇誘導も、投機資金の動きをにらんで微妙な対応が必要になってきた。
 準備率引き上げを受けて株価は急落し、上海総合指数は終値ベースで1年3カ月ぶりに3000を割り込んだ。過度の引き締めとの声が一部で出始めているが、エネルギー価格改革の環境を整えるためにも景気過熱とインフレの抑制に力点を置いた金融政策は不可欠だ。経済運営のかじ取りは一段と難しくなっている。

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