日経春秋 春秋(4/30)

現代ニッポンには、こんな切ない話は無縁かもしれない。けれど中米でアフリカで食糧危機が広がり、一片のパンを夢想する民衆は少なくない。往時、飢えに苦しんだ青木博士は何も手につかず「文学も糸瓜(へちま)もあったものでない」と自嘲(じちょう)した。とにかく、空腹を満たすのが先だ。そう願う人々が今も世界中にいる。

 「空腹を満たすのが先だ。そう願う人々が今も世界中にいる」はそうなのだが、戦後の日本とは違う側面のほうが多い。