日経春秋 春秋(4/23)

母子殺害の犯行時、18歳になったばかりだった被告にきのう、広島高裁が死刑判決を言い渡した。「けじめがつきました」という本村さんの言葉を「そうだろうな」と聞く。その一方で、仏文学者、渡辺一夫の「寛容は自らを守るために不寛容に対して不寛容になるべきか」と題した随筆をふと思い出しもする。

 文章としてはつたないが、私は学生のころひと冬図書館にこもって渡辺一夫全集を読んでいたことを思い出す。具体的に個別の記憶はあまりないが、渡辺一夫がいいそうなことだなと思うし、そういう部分は私の、一部にすぎないのかもしれないが、血肉になってきたかなと思う。